昭和音楽大学 昭和音楽大学短期大学部 昭和音楽大学大学院

2021.03.15 お知らせ ALL 【公演レビュー】短期大学部バレエコース2020年度卒業公演

2/21(日)短期大学部バレエコース卒業公演をテアトロ・ジーリオ・ショウワにて開催しました。リハーサル・本番と、どの段階においても万全の感染防止対策を講じ、無事に終えることができました。

短大バレエ卒公2020

プログラム

クラシカル・シンフォニー

I got rhythm

Land

「ドン・キホーテ」第3幕より

出演

昭和音楽大学短期大学部音楽科バレエコース2年生
昭和音楽大学短期大学部音楽科バレエコース1年生

賛助出演:林田 翔平

舞台実習

音楽学部音楽芸術運営学科舞台スタッフコース3,2年生

制作実習

音楽学部音楽芸術運営学科アートマネジメントコース2年生

【公演レビュー】

取材・文 林田 直樹
人はなぜ踊るのだろうか? そして、なぜダンサーを職業として選ぶのだろうか?
好きだから? そこに音楽があるから?
この哲学的な問いを舞台上の一人一人のダンサーに向けたくなるほど、完成度ある4本立てのパフォーマンスを楽しむことができた。
プロコフィエフの古典交響曲を用いた「クラシカル・シンフォニー」(小山恵美振付)は、20世紀のモダン・バレエの確立者ジョージ・バランシンの精神を継承し、誰か一人が突出せず、全員が主人公となりながら優雅に音楽を視覚化する美しさが伝わってきた。
ガーシュウィンの曲による「I got rhythm」(小山恵美振付)は、個々のダンサーの技量や特徴に応じた見せ場をバランス良く作る、指導者の手堅く細やかな配慮を感じさせて、気持ちよく観ることができた。
主役を一人だけに集中させず、全体のアンサンブルを重視するという点では、ダウランドやモーツァルトの曲を用いた「Land」(髙原伸子振付)も同様だったが、こちらはよりメッセージ性があり、葛藤や苦しみのほとばしるような表出からは、踊り手一人ひとりの心情が強く伝わってきた。
最後は「ドン・キホーテ」(レオン・ミンクス音楽、マリウス・プティパ振付)の第3幕。難易度の高いこうしたバレエの名作を最後に持ってくる構成がいい。最大の見せ場であるキトリ(仲程美優)のグランフェッテも難なくクリアし、コール・ドの秩序ともども、高い技術を見せた。
舞台スタッフコースの学生が中心となってステージも展開された公演だったが、特にバレエの場合は視覚的要素が重要であり、照明や音響の役割は、極めて大きい。今回は全体に転換もスムーズで、短時間に4本の異なる演目を次々と繰り出すスピード感に、学生たちの技術やモラルの高さを感じた。コロナ禍でもここまで舞台を作り上げた現場の苦労は大変なものがあったに違いない。
最初の疑問に戻る――いったいなぜ人は踊るのだろうか。なぜ舞台を作るのだろうか。卒業に際してこの問いを改めて彼女たちに向けたいと思う。筆者はこう考える。踊る身体とは、もっとも人間の美しさを信じさせてくれる有効な手段に他ならない。バレエを観るということは、人間の気品、愛、誠実をもう一度信じるという行為なのだ。
それをさらに高めるために、一つの提案をしたい。それは、音楽大学はもとより、プロの興行にも共通の課題なのだが、ぜひ生身の演奏家と一緒に舞台を作ることで、お互いに良い影響を与え合って欲しいということである。踊る身体、それはすべての音楽家にとっても宝なのだから。
(2021年2月21日、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワにて所見)

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短大バレエ10

筆者紹介

林田 直樹 Naoki Hayashida

埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバーまで、近年では美術や文学なども含む、幅広い分野で取材・著述活動を行なう。

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