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第20回公開講座
=オペラ劇場運営の現在=

オペラをめぐる祝祭・その今日的あり方 III
〜ヨーロッパのオペラ・フェスティヴァルとワーグナー上演

 日     時: 2007年9月9日(日) 13:00〜16:00
 場     所: 時事通信ホール

 講     師: エヴァ・ワーグナー = パスキエ Eva Wagner-Pasquier
ハンス = ペーター・レーマン Hans-Peter Lehmann
 モデレーター : 高辻知義(東京大学名誉教授)
広渡勲(昭和音楽大学教授)
石田麻子(昭和音楽大学准教授)
 通     訳: 岡本和子
 司     会: 武濤京子(昭和音楽大学准教授)
 協     力: 新国立劇場
 後     援: ドイツ連邦共和国大使館、ドイツ文化センター、日本ワーグナー協会
   
<第 I 部>基調講演
<第 II 部>質疑応答
 
楽屋入りしたエヴァ・ワーグナー=パスキエ女史に挨拶するハラルド・ゲーリヒ独連邦共和国大使館文化担当参事官。 楽屋入りしたエヴァ・ワーグナー=パスキエ女史に挨拶するハラルド・ゲーリヒ独連邦共和国大使館文化担当参事官。
ワーグナー女史の基調講演ではまず、現在アーティスティック・コンサルタントを務めるエクサン・プロヴァンス音楽祭とメトロポリタン歌劇場について、特にキャスティングの仕事の信条が語られた。また戦後バイロイト音楽祭のひとつの方向を決定づけたパトリス・シェローの演出作品、東西ドイツ冷戦下の緊張状態の中でのゲッツ・フリードリヒの演出エピソードなどに触れ、ワーグナー上演史上意義深いプロダクションがどのように行われてきたのか、貴重な証言となった。レーマン氏の基調講演では、60〜73年までバイロイト音楽祭でヴィーラント・ワーグナーおよびヴォルフガング・ワーグナーの助手を務めた当時の様々な状況に言及。67年、亡きヴィーラントに代わって演出したバイロイト音楽祭大阪公演≪トリスタンとイゾルデ≫の今日的上演にいたる意義などが語られ、日本のワーグナー上演研究に新たな1ページを添えた。
「エクサン・プロヴァンス音楽祭、あるいはエクサン・プロヴァンスという街をご存じの方は?」というワーグナー女史の会場への問いかけに挙手で応える参加者。登壇者は右から演出家のハンス=ペーター・レーマン氏、通訳・岡本和子氏、エヴァ・ワーグナー女史、モデレーターの高辻知義・東京大学名誉教授、広渡勲・昭和音楽大学教授、石田麻子・昭和音楽大学准教授。 「エクサン・プロヴァンス音楽祭、あるいはエクサン・プロヴァンスという街をご存じの方は?」というワーグナー女史の会場への問いかけに挙手で応える参加者。登壇者は右から演出家のハンス=ペーター・レーマン氏、通訳・岡本和子氏、エヴァ・ワーグナー女史、モデレーターの高辻知義・東京大学名誉教授、広渡勲・昭和音楽大学教授、石田麻子・昭和音楽大学准教授。
モデレーターの高辻知義・東京大学名誉教授からは、戦後のバイロイト音楽祭の方向性のひとつを決定づけたパトリス・シェロー演出の〈ニーベルングの指環〉について、ワーグナー女史の果たした役割が紹介された。
ワーグナー女史からは「バイロイトの場合は、演出家にしても、指揮者にしても、一度受け入れたアーティストは、祝祭劇場側のスタッフがみんなを全面的にサポートするという非常に特別な体制ができています。私はアーティストを批判することは絶対せず、アーティスト側に立つという信念を持ってやってきました。若い歌手にしても常に愛情を持ってすばらしい才能を育てていく、またサポートしていくのが、私の仕事と思っています」と、応えた。
レーマン氏からは、師と仰いでいた亡きヴィーラント・ワーグナーやヴォルフガング・ワーグナーとの想い出のほかに、ナチス政権下や音楽祭の再開時、また東西ドイツ冷戦時代のバイロイト音楽祭の知られざる苦労や自身のワーグナー観が語られた。「戦後間もないドイツは、だれもが食べるもの、着るものにも困っていた時代です。当時のバイロイト祝祭劇場は、さまざまな小道具などがよく盗まれました。周辺の農家の人が畑で、上演のときに使われた騎士の長靴を履いて畑仕事をしているのがごく自然に見ることができる、そういう時代でした。(中略)ワーグナー作品の中で扱われるのは、普遍的な、人間が常に抱え続けてきたテーマです。憎しみや恨みといった古典的なテーマが唯一愛によって解決されるところが、いつの時代にも新鮮に、魅力的に私たちに響いてくるのではないでしょうか」
 
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