音楽・バレエ教室
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ストリングスアカデミー特別対談⑤ 宗次德二&伊藤亮太郎

昭和音楽大学附属ストリングスアカデミーでは、NPO法人イエロー・エンジェルより、子どもたちのレッスン料無償化のご支援をいただいています。
今回は、イエロー・エンジェル理事長の宗次德二様をお訪ねし、クラシック音楽との出会い~次世代への思いなど、宗次ホール(名古屋)の客席にてお話を伺いました。

宗次エンジェル基金 夢を叶える助成

伊藤 今回は、NPO法人イエロー・エンジェル理事長の宗次德二様に特別にお時間をいただき、お話を伺います。よろしくお願いいたします。

宗次 よろしくお願いいたします。

伊藤 初めてクラシック音楽に出会われた時のことを、教えていただけますか?

宗次 私は子どもの頃、クラシック音楽とは縁のない生活をしていました。15歳の時、間借り生活をしていたのですが、初めて自分の部屋に電気が灯り、中古のテレビが置かれたんです。そのテレビから流れてきたのが、NHK交響楽団によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲でした。それが私にとって、クラシック音楽との最初の出会いになります。それまでクラシック音楽を聴こうと思ったこともありませんでしたから、人生最大と言っていいほどの出会いでしたね。それから毎朝その曲を聴いてから、学校へ行くようになりました。6月のその日から7月20日の終業式の日まで毎朝、聴いていました。その後は、仕事に一生懸命になり、音楽を聴く機会も減りましたが、飲食業を退任してから、再びクラシック音楽への思いが蘇り、現在につながっています。

必要とする人に 必要な支援を

伊藤 弦楽器のみならず、クラシック音楽界に多くのご支援をされています。そのキッカケは何だったのでしょうか?

宗次 弦楽器への支援は、ある著名なヴァイオリニストの方に一台の楽器を提供したことがキッカケです。そこから少しずつ支援の輪が広がっていった形ですね。私の方から「良い楽器があるから買いましょう」と勧めたことはなくて、必要としている方が相談に来られ「では、良い楽器を探しましょうか」という形で支援してきました。それだけ必要としている演奏家が多いということなんでしょう。実は、私自身もヴァイオリンを2か月ほど習ったことがあります。しかし「これは自分には無理」と思って諦めました。ですから、私は圧倒的に「弾く」より「聴く」側の人間ですね(笑)。

目標を持つことが、人生を開いていく

伊藤 当アカデミーでは、子どもたちのレッスン料を無償化するご支援をいただいていますが、子どもたちにどんなことを伝えたいですか。

宗次 私の幼少期は、その日その日を生きることで精いっぱいで…、明日のことを考える余裕すらありませんでした。今のアカデミーの子どもたちは「ヴァイオリンを習いたい」、「将来はヴァイオリニストになりたい」と目標を持っていますよね。それが、何よりも素晴らしいことだと思います。生きていくうえで「目標」があると頑張れますし、何かのキッカケをつかんで「目標」を追い続けてほしいですね。

伊藤 経済的な心配をせずに学べる環境をつくっていただけることは、本当にありがたいことです。

宗次 子どもが目標を持った時には、親御さんとしても「何としても叶えてあげたい」と思われることでしょう。その親心の一助になれば、私としても嬉しいですね。

 

一つの目標が、新たな目標につながる

伊藤 宗次様ご自身は、これまでどのような目標や夢を持って、人生を歩まれてこられたのでしょうか。

宗次 振り返ってみると、「最初に一つの目標」ができたところから、人生がだんだんと開けていったように思います。18歳の時に「最初の目標」ができて、それに向かって仕事を選びました。その仕事を始めると今度はそれが面白くなり、「最初の目標」は消えてしまったけれども、そのおかげで「次の新しい目標」が生まれました。そんな繰り返しをしてきましたね。だから何か一つ二つ、「目標」を追い続けるような人生であってほしいと思います。

先ずスタートすることに 価値がある

伊藤 子ども用の楽器は、ヤマハさんに特別協力いただき、無償貸与していただいております。実業家として大学と企業との産学連携について、お考えを聞かせていただけますか?

宗次 最初から全てを計画してその通りに進むことは、なかなかありません。昭和音楽大学さんが、子どもたちに音楽の裾野を広げたいと企画したからこそ、メーカーさんも賛同してくださり、徐々に広がっているのだと思います。先ずスタートすることに価値があります。先輩たちが年月を重ねて、やがて世に出るようになった時に「始めたころは大変だったけど、こうして今につながっている」と思ってもらえたら良いですよね。何でもそうなんですが、キッカケが大切なんです。

クラシック音楽を、次の世代へ伝える

伊藤 これからのクラシック音楽界に期待されることはありますか。

宗次 クラシック音楽は、長い年月をかけて伝承されてきた芸術ですよね。日本の優れた演奏家が海外でも活躍できるのは、本当に素晴らしいことですが、一方で今は手軽に楽しめるものが沢山あり、若い方が芸術に触れる機会が少なくなっています。だからこそ、少しでもクラシック音楽を愛好する人が増えてほしいです。クラシック音楽には人を優しくする力があると思っています。穏やかな気持ちになったり、癒されたりする。自分が優しい気持ちになれば、周りの人にも良い影響を与えます。そういう人が増えれば、街も良くなる。だから、クラシック音楽をもっともっと広めたいんです。

「宗次エンジェルキッズ」未来へのエール

伊藤 当アカデミーでは、ご支援いただいている子どもたちを「宗次エンジェルキッズ」と、名付けさせていただきました。最後に、子どもたちへメッセージをお願いいたします。

宗次 人生には、悩んだり苦しんだりすることが沢山あります。そんな時に「自分には、ヴァイオリンが弾ける」「練習していると夢中になれて、何もかも忘れられる」と思えることは、とても幸せなことです。少しずつ上手になって「もっと上を目指そう」と思える機会を、皆さんはもう得ているのです。ですから、一生懸命取り組むことが、結果的には良い人生につながっていくということを覚えておいてほしいです。練習も含め、たとえ苦しい日があっても負けないで続けてください。

伊藤 私自身、50歳を過ぎた今も音楽を通して学び続けています。宗次様が15歳で一曲のクラシック音楽と出会われ、その感動が月日を経て今につながっているように、音楽には世代を超えて人と人をつなぎ、次の世代へと伝承していく原動力になるのだと、改めて感じました。子どもたちが思う「弾いてみたい!」「上手になりたい!」という気持ちを大切にしながら、私も一人ひとりの成長を支えていきたいと思います。今日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

宗次 こちらこそ、ありがとうございました。これからも子どもたちのために頑張ってご指導してあげてください。一人でも多くの子どもたちが、クラシック音楽と出会い、その出会いをキッカケに自分の生きる目標を、人生を見つけてもらえたら、私としても幸せです。

助成=NPO法人イエロー・エンジェル

取材  文  写真=昭和音楽大学ストリングスアカデミー運営室

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