音楽・バレエ教室
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ニュース
2020/12/11
お知らせ

【公演レビュー】11/21(土)管弦楽団第39回定期演奏会

11/21(土)管弦楽団第39回定期演奏会をテアトロ・ジーリオ・ショウワにて開催しました。リハーサル・本番と、どの段階においても万全の感染防止対策を講じ、無事に終えることができました。

管弦楽定期⑤

指揮

時任 康文

公演プログラム

ロッシーニ/オペラ《セミラーミデ》序曲
モーツァルト/交響曲第39番 変ホ長調 K.543
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番二短調Op.47

【公演レビュー】

取材・文 林田 直樹
指揮者の時任康文は、多くの本邦初演オペラを手掛けてきたのみならず、オーケストラでも抜群のセンスを発揮する達人である。今回のコンサートでもそれを実感した。
ロッシーニ「セミラーミデ」序曲では、弦の表情の細やかな指示に非凡さがあったし、高いレベルでの音楽の愉悦と自発性をめざしている指揮であることがよく感じ取れた。オーケストラの演奏は手堅いものだったが、ロッシーニらしくもっとはちきれてもいい。
モーツァルト「交響曲第39番変ホ長調K.543」は第3、4楽章が特に良かった。曲が進むにつれて管と弦のバランスが取れはじめ、軽快な楽しさがあった。
休憩をはさんで、メインはショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調op.47」。いたずらに外面的効果に走ることなく、テンポやダイナミクスにおいて周到に計算された構成は、ドラマティックな説得力があった。特に弦楽器の弱音への意識が鋭敏で、音楽を深く掘り下げたものにしていた。フルートをはじめ木管の表情も魅力があったし、コントラバスら中低弦の頑張りは全体を迫力あるものにしていた。第4楽章の終結部の前から、ひたひたと小太鼓で始まり盛り上がっていくリズム・セクションや、トロンボーンをはじめとする金管の緊張感も、聴かせるものがあった。
最大の課題は、技術ではなく楽曲に対する共感性である。たとえばショスタコーヴィチの作品は、当日の曲目解説にあったように「体制に恭順を示す」ためだけに書かれたのだろうか? それともそれは偽りの態度であって、作曲家の本音は別のところにあったのだろうか? こうした問題意識を演奏家も聴衆も共有できるように工夫することが、より音楽を切実なものにしていくことになるのではないだろうか。

管弦楽定期③

管弦楽定期⑥

筆者紹介

林田 直樹 Naoki Hayashida

埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバーまで、近年では美術や文学なども含む、幅広い分野で取材・著述活動を行なう。

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