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ニュース
2021/10/15
お知らせ

第18回ショパン国際ピアノ・コンクール コラム配信のお知らせ

現在、ポーランドの首都ワルシャワで開催中の「第18回ショパン国際ピアノ・コンクール」。
コンクールに参加中の昭和音楽大学の学生たちの活躍など、
ショパンコンクールに関するコラムをこれから数回に渡り、本学講師の下田幸二先生が現地から発信してゆきます。

今回、第一回目となるコラムをお届けします。

ショパン国際ピアノ・コンクール 第1回コラム
「コンクールの歴史と昭和の学生たちの活躍」

取材・文  下田 幸二(本学講師)
 ショパン国際ピアノ・コンクールは、1927年にショパンの祖国であるポーランドのワルシャワで始まりました。当時ショパン名称高等音楽学校教授であったイェジー・ジュラヴレフは、「ショパンの作品は過度にロマンティックであり、魂を耽溺させ、精神的に弱くする。よって、ショパンを音楽学校の課題に含めるのはふさわしくない」という過った意見に心を痛めていました。その解決策として、「ショパン国際ピアノ・コンクール」を思い立ちます。世界の若者がワルシャワに集ってショパンを演奏することで、ショパンの正統なる解釈、その演奏芸術の継承と発展が未来になされていくと考えたのです。
1927年の第1回コンクールは応募者34名で、実際には8カ国26名が参加して行われました。人数から見るとまるでどこかの地方の小さなコンクールのようですが、実は少数精鋭で、第1位のレフ・オボーリン(ソ連)を始めとして、ルジャ・エトキン(ポーランド)、ヘンリク・シュトンプカ(ポーランド)などの名ピアニストが生まれました。また、後の大作曲家のドミトリー・ショスタコーヴィチ(ソ連)も参加し、名誉ディプロマを得ています。1932年第2回のコンクールになると応募者は200人以上に急増します。そこから18カ国89名が選抜され、実際には14カ国68名が演奏したのです。第1位はウクライナ系無国籍者であるアレクサンドル・ウニンスキーしたが、第2位の盲目のイムレ・ウンガル(ハンガリー)とは同点で、最終結果はくじ引き(コイン・トス)という現在では考えられない方法でのハプニング的優勝でした。
以後、第2次世界大戦中の中断を除いて、ショパンコンクールは次のような特徴を持って継続されてきました。
①5年に1度の開催
②ショパンの作品のみのコンクール
③多数の応募者と事前審査
④ハイ・レベルの参加者、入賞者
⑤ハプニング

昭和の学生の活躍
 さて、第18回ショパン国際ピアノ・コンクールはコロナ禍により1年延期され、2021年10月2日から~20日まで行われています。今回の応募総数は実に53カ国、502名にも上りました。そこから書類音源審査→予備予選を経て、87名の精鋭ピアニストが感動的なショパンの音をワルシャワ・フィルハーモニーホールに響かせています。
世界一の規模とレベルの高さを誇るこのコンクールには昭和音楽大学と附属ピアノアートアカデミーの学生たちも参加しています。2010年と2015年には須藤梨菜さんが本大会に出場して2次予選まで進出し、2010年には後藤正孝さん、2015年には中村芙悠子さん、中村優似さんも予備予選に参加していました。今回の第18回大会では、牛田智大さんと古海行子さん(古海さんは2015年に続いての連続出場)が本大会に出場し、第1次予選で共に見事なショパンを聴かせ、第2次予選まで進出したところです。また、予備予選には、黒木雪音さんと中村優似さんも参加していました。

今後、このコンクールの続報をお送りいたします。お楽しみに!


筆者紹介

下田先生プロフィール

下田 幸二 

音楽評論家・ピアニスト。昭和音楽大学および附属ピアノアートアカデミー・桐朋学園音楽部門・相愛大学各講師。武蔵野音楽大学卒業、国立ワルシャワショパン音楽院修了。教育者、ショパンやポーランド音楽の研究者として信頼が篤い。モニューシコ国際ポーランド音楽コンクール、青少年ショパン国際コンクール(以上ポーランド)、せんがわピアノオーディションなど審査員を歴任。著書「ショパンその正しい演奏法」(ヤマハミュージックメディア)ほか。

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