音楽・バレエ教室
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ニュース
2023/02/10
お知らせ

【公演レビュー】ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」

2022年12月24日(土)令和4年度 音楽学部ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「SEUSSICAL」が、テアトロ・ジーリオ・ショウワにて開催されました。

ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像

演   出:横山 由和
音 楽 監 督:田邉 賀一
歌 唱 指 導:萩原 かおり
振   付:酒井 麻也子
タップ振付:祝利 美杏
マイム指導:鷲田 実土里
稽古ピアノ:案野 弘子 赤松 笑 松田 侑奈
実習研究員:高谷 知永理

出演

音楽芸術運営学科ミュージカルコース 4年生

舞台スタッフ

音楽芸術運営学科舞台スタッフコース 4、3、2年生

公演レビュー

取材・文 林田 直樹


アメリカの国民的絵本作家ドクター・スース(1904-91)の愉快でリズミカルな絵本の世界をミュージカル化した「スーシカル」は、ブロードウェイの作曲家スティーヴン・フラハティと作詞家リン・アーレンスのコンビによって2000年にブロードウェイで初演されて以来、世界中で繰り返し上演されている。
心を打つ詞と甘いメロディ、ハーモニーの豊かさは、ロジャース&ハマースタイン以来の古き良きミュージカルの伝統を継承する美質を備えており、単なる子ども向けという次元にとどまらない名作である。昭和音大では2015年、2019年度に続いて3回目の上演。

12時開演のスカイブルー・チームの上演を観たが、すべてのキャストとスタッフ、バンドによる演奏も含めて、全員が一体となったチームワークにとても心を動かされた。全員が懸命に打ち込んでいる姿を見て、これはプロのルーティンワークにはない青春の輝きがあると思ったし、歌も演技も踊りも、よく勉強し準備してきたことが感じられた。
無邪気な少年ジョジョ(木口月華)、狂言回し的な「ハットにキャット」(飯島乃愛)、誠実で優しいホートン(林千夏)、不思議な存在感あるガートルード(城樂優海)、ゴージャスなメイジー(伊藤なの子)、ふてぶてしく迫力あるカンガルー(林みほろ)、いかにも軍隊的なシュミッツ将軍(北村千秋)、少年の保守的な両親の町長(山本ゆり)、町長夫人(中田萌々)など、想像と現実の入り混じった世界の個性的な住人たちのキャラクターを、それぞれがよく演じていたし、心のこもった歌も随所で聴かせた。
それにしても何とも荒唐無稽な、おもちゃ箱をひっくり返したような物語である。しかしその混沌の中から響いてくるのは、人間が持っている能力の中で最もかけがえのない「想像力」の豊かさである。それは社会のルールや常識さえも軽々と超えてしまう。ラスト近くで、目に見えないほど小さな世界の声を聞きとろうとする、声を届けようとするシーンは深く余韻を残した。クリスマス・イブにふさわしい、幸福感あふれる舞台だった。

ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像2
ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像3
ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像3
ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像4
ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像5
ミュージカルコース・舞台スタッフコース卒業公演「スーシカル」の画像6

筆者紹介

林田 直樹 Naoki Hayashida

埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバーまで、近年では美術や文学なども含む、幅広い分野で取材・著述活動を行なう。

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