2024年10月26日、11月9日昭和音楽大学第31回コンチェルト定期演奏会がテアトロ・ジーリオ・ショウワにて行われました。
この「コンチェルト定期演奏会」は伸和コントロールズ株式会社(川崎市麻生区)の協賛により、
2021年度から公演日を2日間にわけて開催。演奏家コースのソリスト出演者を倍増でき、貴重な演奏機会が拡大されました。
2024年10月26日、11月9日昭和音楽大学第31回コンチェルト定期演奏会がテアトロ・ジーリオ・ショウワにて行われました。
この「コンチェルト定期演奏会」は伸和コントロールズ株式会社(川崎市麻生区)の協賛により、
2021年度から公演日を2日間にわけて開催。演奏家コースのソリスト出演者を倍増でき、貴重な演奏機会が拡大されました。
小森 康弘
竹中 晋平 クラリネット (弦・管・打楽器演奏家Ⅱコース4年)
演奏曲 W.A.モーツァルト クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
早川 純礼 ピアノ (ピアノ演奏家コース4年)
演奏曲 F.ショパン ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 Op.21
大石 亜美 フルート (弦・管・打楽器演奏家Ⅰコース4年)
演奏曲 C.ニールセン フルート協奏曲
松下 日花里 ピアノ (ピアノ演奏家コース4年)
演奏曲 F.ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11
井上 京 パーカッション (弦・管・打楽器演奏家Ⅰコース4年)
演奏曲 石井眞木:打楽器協奏曲 ─南 ・火・夏─
古里 莉子 フルート (弦・菅・打楽器演奏家Ⅰコース4年)
演奏曲 A. ヴィヴァルディ:ピッコロ協奏曲 ハ長調 RV443
岡野 皓太 クラリネット (弦・管・打楽器演奏家Ⅰコース4年)
演奏曲 A. コープランド:クラリネット協奏曲
木村 碧希 ピアノ (ピアノ演奏家コース4年)
演奏曲 S. プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 Op.26
優秀な成績で特に選ばれた学生たちをソロとする協奏曲4題。
モーツァルト「クラリネット協奏曲」は、竹中晋平(弦・管・打楽器演奏家Ⅱコース4年)のソロ。管楽器には欠かせない息の長さがたっぷりとあり、局面に応じた細やかな表情の変化も美しい。第2楽章のピアニシモはとりわけ印象的だった。今後は自由な装飾音の遊びや、演奏する喜びがもっと前面に出るとさらに面白くなりそうだが、この演奏から伝わってきた誠実な人間性も十分に魅力的だった。
ショパン「ピアノ協奏曲第2番」は早川純礼(ピアノ演奏家コース4年)のソロ。こちらも同様にていねいで真面目なところが良かったし、丹念な表情には独特な味わいも感じられた。協奏曲ならではのオーケストラとの各奏者とのコミュニケーションや、もっとふてぶてしいくらいの自己主張があってもよかったかもしれないが、その着実な演奏ぶりには好感が持てた。
ニールセン「フルート協奏曲」は、大石亜美(弦・管・打楽器演奏家Ⅰコース4年)のソロ。この日はこの曲だけが近代、しかもデンマークの大作曲家による、知る人ぞ知る傑作である。オーケストラもトロンボーンやクラリネットやファゴット、ティンパニなどの活躍があり、従来の協奏曲の枠を超えた、シンフォニックな聴き応えがある。ユーモアも深刻さも、あらゆる感情が盛り込まれ、響きの探求においても面白い。フルートへの要求も高い難曲だが、とてもエキサイティングな演奏が楽しめた。
ショパン「ピアノ協奏曲第1番」は松下日花里(ピアノ演奏家コース4年)のソロ。堂々として余裕があり、すでに一人前の完成された個性が確立されている人だ。特に第2楽章はたっぷりと旋律を歌わせ、月の光が水面に波紋を広げていくような妙音の響きも見事。第3楽章の終結部のスピード感も興奮させるものがあった。
小森康弘指揮テアトロ・ジ―リオ・ショウワ・オーケストラの演奏は堅実なだけでなく、各奏者の実力も随所で感じさせる充実したものだった。
こうした「コンチェルト定期演奏会」は、聴き手にとっては、将来あるソリストたちの個性を楽しむと同時に、さまざまな協奏曲のありようを味わう機会にもなる。今後も多彩なプログラムの展開が楽しみである。
竹中 晋平(10月26日)
早川 純礼(10月26日)
大石 亜美(10月26日)
松下 日花里(10月26日)
井上 京(11月9日)
古里 莉子(11月9日)
岡野 皓太(11月9日)
木村 碧希(11月9日)
11月9日
三浦 興一(10月26日公演)
池上 直哉(11月9日公演)
林田 直樹 Naoki Hayashida
埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバーまで、近年では美術や文学なども含む、幅広い分野で取材・著述活動を行なう。